日 時:2017年9月9日(土)17:00〜18:00
場 所:B号館1階 103号室
最近のファッションのデジタル化と業界のブランディング、顔、感性表現など、独自の視点でご活躍の方のお考えに合わせて、これからのビジネスの可能性や感性の必要性をお伝えしたいと考えています。
この世にだれひとり同じ人は居ません。それなのに、現状は同じ形の既製品に人が合わせています。顔、体型、肌の色、髪型、そして好み等が各々違う中で、もっと“自分らしく”“簡単に”ファッションを楽しんでほしい。アナログの匠の技術とデジタルの俊敏性を活かし、ひとりひとりが自分らしいファッションを表現でき、好みの服を自由に着られる世界の実現を私達は目指しています。
東洋紡の研究所から始まった弊社が長年研究開発して参りました技術を基にして、個人の「これが欲しい」「すぐに欲しい」という思いに応える仕組み『FASHION ON DEMAND』で、自分に合った好みのファッションを誰でも気軽に手に入れられる社会が実現へと近づいてきました。消費者をConsumerではなく、個人、Individualと捉え、そのB to i (Business to individual)ビジネスモデル、つまり、個人が求めるFashionを適正な価格で短期間に提供するビジネスですが、これがカスタマイズという形で益々、広義なファッション分野にも浸透していく事となるでしょう。
このB to iビジネスモデルの確立には、誰でも安心して利用できるプラットフォームの構築が必要となります。そのためには、出来るだけ商品を明確にイメージできるビジュアル表現と、それを形ある商品として仕上げるものづくりの力が重要です。
まず3DCGでの表現については、サービス、プロモーション、販売と、顧客を捉える華やかさ、また見る人が鏡のように「本当に自分がそこにいる」「世の中に他にない自分だけの商品がそこにある」という実感を持てるようなハイクオリティーさが求められます。時と場合によりますが、エンターテイメント、アニメ、ゲーム等で使われるレベルのCGでは満足できない場合も出て来る事でしょう。このリアルさの根拠となるのが、BRDF等の光学特性や、力学、物理特性等を取り入れたマテリアルデータです。そして、3D人体と衣服の動きをシミュレーションすることによる、個人体型に合わせた衣服のモデリングも重要です。弊社も日本代表エキスパートとして関わっているISO/TC133や、IEEE等において、衣服と人体体型における関係性の標準化を試みています。
また、これらに加え、心理面でのサポートとしてコンシェルジュ、アドバイザー、スタイリスト等の感性アドバイスが必要な人は、デジタルで人工知能(AI)や深層学習(DL)等あらゆるエンジンで自分の欲求を満足させるサービスや情報が受けられるようになるでしょう。
ただ、最終的に物としての商品を作れなくては意味がありません。これを実現するために必要なのが、個別受注生産対応の仕組みは勿論の事、マテリアル、企画、設計、生産です。「ものづくり」こそ、従来の日本が得意とする分野である事に変わりはありません。デジタル技術によって、従来は不可能とされた個々の要望に対応するファッションが実現できるようになるのです。
今日、「最先端の素材」「デジタル(ソフト/ハード)製作ツール」「ウェアラブル製品」等様々な技術革新が広義なファッション分野の枠も超えて行われています。これは職種の変貌にも繋がるかもしれませんが、「自動化が進めばより高い専門知識や創造性が重要になる」と経済学者のデビッド・オーター氏が語っておられましたが、それと同じ事でカスタマイズ出来る高い専門知識や創造性が必要になる事でしょう。そのために、確立されたデジタル技術を使いこなし個別対応が出来る教育、つまり、Fashion On Demandを支えるDigital Fashion Creatorの育成にも力を注ぐ必要があると考えています。
以上、新しいビジネス構築に関する取り組みを紹介しましたが、大会テーマであるブランドとしての顔 -魅せる感性・見る感性- に繋がれば幸いです。
略歴
アパレルメーカー、商社を経て、デジタルファッション株式会社の設立に参加。
「日本品質」であるマテリアルと設計、先端のデジタル技術がこれから繊維、ファッション業界にグローバル規模で広がる事を目指して事業を展開中。
現在、国際標準化機構で日本代表のエキスパートとして「3Dバーチャルファッション」の日本提案を推進している。
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